日々お疲れさまです。浦上です。実は最近、「Avicii: I’m Tim」というドキュメンタリーがNetflixで公開されると知り、改めてAviciiについて考え、自分の人生における彼の存在を振り返りたいと思うようになりました。Aviciiは、私にとって"推しのアーティスト"というだけでなく、まさに人生の行く先を照らしてくれた大きな存在です。
この記事では、私のお気に入りである3曲――「Levels」「Silhouettes」「Heaven」――をとおして、当時の体験や心の変化、そして彼の音楽がもたらしてくれた影響についてお伝えします。
目次
はじめに
そもそも私がこうして記事を書くきっかけになったのは、2017年に公開されたドキュメンタリー「Avicii: True Stories」と、2023年に話題になっていた「Avicii: I’m Tim」という映像作品を改めて観たことでした。そこで映し出されるAvicii(本名:Tim Bergling)のツアー生活の過酷さや、彼が抱えていた苦悩に、改めて胸を打たれました。
彼は28歳という若さでこの世を去りましたが、残してくれた音楽の数々は、私たちリスナーの心の中でいまも生き続けています。私自身、つらいときや迷いがあるとき、Aviciiの楽曲から力をもらい、一歩先へ進むことができました。その思いを少しでも共有できれば、というのがこの記事を書こうと思った大きな理由です。
Aviciiとは?
Aviciiは、スウェーデン出身のエレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)プロデューサー兼DJとして2008年から活動を始め、その革新的なサウンドと鮮烈なメロディであっという間に世界的な注目を集めました。
代表曲としては「Levels」「Wake Me Up!」「Hey Brother」などが挙げられ、2010年代初頭のEDMブームをけん引し、ダンス・ミュージックの幅を広げたキーパーソンでもあります。
しかしその成功の裏で、過密なスケジュールとプレッシャーによって精神的・身体的な負担が重なり、2018年4月20日に生涯を閉じることになりました。まだ若かっただけに、その死は多くのファンにとって衝撃であり、悲しみの深い出来事でした。
お気に入りの3曲
1. Levels
新しい時代を拓いた一曲
「Levels」は2011年にリリースされ、瞬く間に大ヒット。その「アローン・ジョージアス・ゴスペル」のサンプリングを基にしたゴスペル風ボーカルと、キックの強いビート、明るく伸びやかなメロディラインは、当時"下火"になっていたハウス/四つ打ち系のクラブサウンドを再びメインストリームへ押し上げるきっかけとなりました。
まさに"ハウスビューズ"が停滞していたシーンが、ここから一気に動き出したように感じます。Aviciiが起爆剤となって、EDMを全世界が再注目する流れを作った一曲と言っても過言ではありません。
私が感じた衝撃と解放感
私自身、この曲を初めて耳にしたとき、心のどこかで閉塞感を感じていた日々が一瞬で吹き飛ばされました。当時は仕事に追われ、満員電車に揺られながら「ああ、今日も疲れるなあ…」というのが日常でした。ところが「Levels」を聴いた瞬間、胸の奥から"何か新しいことをしたい"というエネルギーが湧き上がってくるのを感じたんです。
「さあ、次のレベルに進もう」というメッセージを音楽そのものから受け取るような感覚でした。聴くたびに強い高揚感と希望が広がり、「こんな音楽を作る人がいるなら、自分もがんばれるかもしれない」と思わせてくれました。
2. Silhouettes
シルエットに秘められたメッセージ
「Silhouettes」のミュージックビデオは、一見するとパーティーのように賑やかなシーンもありつつ、実は深いテーマを内包しています。最初に見たときは「若い男性が手術を受ける」「家族らしき人たちがあまり気にしていないようにも見える」という内容に、一瞬戸惑ったんです。
しかし何度も観てみると、これは"ある男の子"が自分の身体を変え、新しい自分として生まれ変わるストーリーであることがわかりました。そこには性別の移行や、それに伴う心の葛藤などが潜んでいるように感じられ、単なるパーティー映像では済まされない深みを持った表現が詰め込まれています。
誤解から生まれた新たな理解
「パーティーしているシルエットの人たち」に対して、最初は「どうしてこんな大事なときに、みんな無関心そうなのだろう?」と疑問を抱いていました。けれども、よく観察すると彼らもまた"本人が新たに歩み出す姿"を見守っていると感じたんです。
最終的には「これは聖天下の人じゃなくて、まさに人生の一幕を切り取ったものなんだ」と思い至り、私たち一人ひとりが自分の人生において"変化"を受け入れ、そこから踏み出す勇気を奮い立たせる――そんなメッセージを受け取りました。
これに気づいたとき、「Silhouettes」は私にとって単なるEDMのMV以上の、人生観を揺さぶられる作品となったのです。
自分自身への問いかけ
私自身、この曲を通じて「自分の人生における大きな変化に、ちゃんと向き合えているだろうか?」と考えるようになりました。周囲の反応や社会の目を恐れて、大事なことに蓋をしていないか。そうした問いかけをするきっかけになり、私がこれまでの環境を変えたり、新しい挑戦を始めたりするうえで背中を押してくれた曲でもあります。
3. Heaven
旅するAviciiと、痛ましいほどの疲労
「Heaven」はColdplayのChris Martinとのコラボ曲として2014年に録音され、Aviciiの死後、2019年に正式にリリースされました。MVの映像には、彼が南の島でバケーションを楽しんでいるようなシーンが出てきますが、同時に「20代後半にもかかわらず、何かに蝕まれているような疲労感」をまとっているAviciiの姿が映し出されます。
観る側からすると、太陽が燦々と降り注ぐリゾート地と、Aviciiの痛々しいほどやつれた様子とのギャップがあまりにも切なく、胸を締めつけられる思いです。
“本当にいたたまれない"という感情
この曲を聴くとき、私はいつも「もっと早く、彼が自分自身をゆっくり休ませる環境をつかんでいたら…」と思わずにはいられません。世界中を飛び回りながら音楽を生み出す彼の姿は、ドキュメンタリーでも語られているように、非常に過酷でした。アーティストとしての成功と引き換えに健康や精神的安定を失い、ついには自ら命を絶ってしまった事実は、ただただ悲しいことです。
そこに描かれているのは"雲の上の存在"ではなく、一人の人間としての弱さを抱えたTim Berglingそのものであり、それを目の当たりにすると「本当にいたたまれないな」という言葉以外に思いつきません。
私自身が受け取ったメッセージ
若い頃の自分にとって、Aviciiの存在は輝かしい才能の塊のように見えていました。しかし、後になってその"輝き"の裏に相当な苦しみや葛藤があったことを知り、「自分が憧れているアーティストも、実は人間らしい悩みを抱えていたのだ」と、ある意味ショックを受けました。
同時に、それでも音楽を作り続けたAviciiの情熱を思うと、私も「やりたいことを最後まで諦めずに取り組んでみよう」と、静かではありながらも力強い勇気をもらいます。「Heaven」はそんな複雑な感情を呼び起こす曲であり、Aviciiの遺作的な位置づけだからこそ、余計に胸に沁みるのだと思います。
Aviciiの遺したもの
Aviciiが残したものは、単に「EDMをメインストリームに戻した」という功績だけではありません。彼が苦悩の中で生み出した作品には、聴く人の心を解放し、人生を前向きにしてくれる不思議な力があります。
また、彼の遺志を継いで設立された「Tim Bergling財団」では、若者のメンタルヘルス対策や自殺防止などの活動が行われています。私たちファンが彼の音楽を聴き続けるだけでなく、こうした取り組みに目を向けたり、メンタルヘルスについて考えるきっかけを持つことも、Aviciiが遺したメッセージを生かすことの一つだと感じています。
追伸
この記事を通じて、「Levels」「Silhouettes」「Heaven」という3曲が、どれほど私の人生に影響を与え、心を動かしてきたかを共有させていただきました。
- 自分のレベルを一段上げて、閉塞感を破りたいとき
- 新たなシルエットとして生まれ変わり、変化を受け入れたいとき
- 天国のような景色の中でも、人間らしい苦悩を抱えていたAviciiに思いを馳せたいとき
そんな心情のとき、いつも私は彼の曲を聴きに戻り、そこから再出発するパワーをもらっています。もしまだAviciiの楽曲に触れたことがない方がいらっしゃれば、ぜひ一度聴いてみてください。それが皆さんの人生の"次のレベル"へと繋がるかもしれません。
最後に、心からのありがとうを――Avicii、Tim。あなたの音楽は私たちの中に生き続けています。